集客が制限され、限られた客数で勝負しなければいけない環境では、より良いモノをより安くではなく、限られた客数で客単価を上げる手段を考える。
その手段の1つがブランド化!
付加価値の想像。

例えば、
レッドブルがなぜ高いか?オロナミンCやデカビタなど、似たような味のエナジードリンクは多数ある中で、レッドブルは約2倍位の値段でも売れ続けている。
そして他社は「レッドブルが高く売れるなら!」と追随する。

薬局へ行けばエナジードリンクは何種類もある。
その中でも、圧倒的な人気があるのはレッドブルとモンスターエナジー。
完全な2強。
成分の違いはあるにしても、似たような味と効果なのになぜレッドブルとモンスターエナジーは強いのか?
それは付加価値が高いブランド力を持っているからだと思う。
⬇️薄利多売からの脱出
目次
■レッドブルはなぜ売れるのか?
⚫︎レッドブルが売っているもの
レッドブルはエナジードリンク世界No.1のシェアを維持している。
日本ではモンスターエナジーの方が売上も高いけど世界全体でみたらレッドブルの方が売上は高い。

レッドブルの売上を支えているのは主に欧州。
スポーツが好きな人がよく目にするのがレッドブルスポンサーの大会。

メジャースポーツからマイナースポーツまで幅が広い。
それでは、レッドブルは何を売っている会社なのか?
この答えがブランドの本質だと思う。
レッドブルが売っているものは、飲料ではなく、「エキサイティングな体験」を提供している。
この考え方は、おそらく日本ではあまり理解されづらいことこそが日本人がブランディングが苦手な証拠でもある。
商品(モノ)ではなく、エキサイティングな体験という価値を販売しているというのがレッドブルのミンションでもあり売っているもの。
『エキサイティングな体験』というのをレッドブルは、クラブやエクストリームスポーツに落とし込んでて、こららのイベントとレッドブルが組み合わさった体験こそが、理屈抜きに心と身体を刺激するものという体験を提供しているのがレッドブル。
この体験がレッドブルはカッコイイというイメージにつながり、スタイルとなって話題や人気を集める流れが定着しブランド化している。
疲労効果のある性能の良いエナジードリンクを販売しているだけでは、カッコいいというイメージにはならない。
「なんかカッコいい」というイメージを連想させることがブランド化ってこと。
■ブランド構築
⚫︎伝統と信念
ブランド構築はやはり欧州を参考にするといい。
特に欧州は伝統的なブランドが多いし育つ。
エルメス、ルイヴィトン、シャネルなどのアパレルブランド、フェラーリ、ポルシェ、BMWなどの自動車ブランド、時計のハイブランドを想像すると欧州が多い。

これはイメージだけど、
アメリカや中国企業は伝統よりも目の前の利益を追求する。
一方欧州企業は伝統と信念を追求する。
日本はモノの品質、技術を追求する。
この考え方が根底にある。
ブランドに愛着を持たせ、伝統を大切にし信念を曲げない企業が多いのは圧倒的に欧州企業が多い。
簡単に言えばハイブランドの多くは欧州にあるのは、ブランド価値をブレずに持っているからだと思う。
短期的な利益を追求するアメリカや中国。
機能や技術、品質で勝負する日本。
伝統や信念で勝負する欧州。
この戦いだと、1番伸び悩むのは日本だと思う。
アメリカが行っているのは欧州で行われるブランド戦略との融合。
アップルやナイキが代表例で、手頃な価格帯で売上規模を確保する。
⚫︎日本でブランドが育たない理由
日本には長年続く老舗は多くある。
でも老舗企業はあくまで日本のみの展開で、海外で戦っている老舗はほとんどない。
なぜか?

それは、時間という価値の重さを知らないからと、大きな利益をあげることに対して心の何処かで罪悪感を感じてしまうからだと思う。
例えば、
飲食店で多いのが、「原価率50〜60%の価格設定で質の高い材料を使っている」といったフレーズをよく聞くことがある。
儲けはないけど、その分お客さんに還元しているといった考え方のビジネスモデル。
この考え方は海外では100%、なんでそんなことするの?という非常識だと思われる。
企業の目的は利益を出し続けることだけど、当然売っても売っても利益が出ないビジネスモデルは続かない。
コロナ禍で真っ先に潰れたのが利益率が薄くて固定費がかかっているお店。
このように、日本の多くの会社は安くて良いものを提供していればお客さんに喜んでもらえるという考え方が根付いているから、いつまで経ってもブランドは育たないし生まれない。

⚫︎儲けることが悪?
日本の義務教育で投資やお金の稼ぎ方など教えられないこともそうだけど、
【お金の話=タブー=汚いこと】というのが一般的。
矛盾するようだけど、企業が生き残るためには利益を上げ続けなければいけない。
でも、多くの人は利益をあげる企業や個人をバッシングする習性がある。
例えば、
原価率20%で利益80%の商品があった場合、「儲け過ぎ!」と頭に思い浮かぶのが典型。
もう少しわかりやすく例えると、世間に「この商品は80%が利益!」と発表した場合、間違いなく
「もっとお客に還元しろ!」
「銭ゲバ企業」
「ぼったくりはやめろ!」といった意見が出てくる。
では、そのような批判をいう人達はもし企業が儲からなくなり倒産しかかった時、助けてくれる人達か否か?ということ。
ピンチになった時に助けてもくれない無責任な存在の批判者が多いのが日本。
⬇️日本経済の低迷理由は意地悪メンタル?
日本人のDNAとして儲けすぎは「詐欺」「騙している」といった考えになってしまう。
まず、この考え方を捨てなければいつまでたってもブランドを作ることは不可能。
長く続くブランドは、モノではなく価値を提供しているから続く。
エルメスやルイヴィトンなど海外ブランドの商品減価率平均は20%以下。
儲けすぎはダメだと言っているくせに日本人は海外ブランドには憧れて、高い商品を喜んで購入する。
この矛盾行動こそが、ブランドに踊らされているってこと。
今は少ないけど、海外ブランドが真っ先に日本のマーケットを狙うのはブランドに踊らされる人が多いからだと思う。
日本人は海外のものは高くても良いと思うのに、自国のものは安くて品質の高いものが良いと思う。
■ブランドを作るには、、、
⚫︎間違った考えをすてることから!
少しでも利益を生み出そうと思った時、他ではない差別化や高品質低価格、希少性ばかりに目がいってしまう。
商品(モノ)を点で見続けている段階ではブランドは絶対に育たないし続かない。
ブランドを作る大前提は、「やらないことを決めること」
コレはしない!という明確なルールを決め貫くこと。
この貫く覚悟がないからブランドは続かない。
目先のことしか考えれないと、捨てることの恐怖が生まれる。
人は、捨てることを簡単に決断できない生き物。
例えば、
5年前発表した商品は当初は利益50%で売れていたけど、ここ数年は競合のコピー商品の台頭で利益率は大幅に下がり20%で売上も落ち込んで回復の兆しは見えない。
この状況になっても、「まだ大丈夫」と思いズルズル継続した結果がいつしか負債となる。
液晶テレビがわかりやすいかもしれない。
まずはやらないことと捨てる覚悟の一貫性。
⚫︎キーエンスの一貫性
利益率50%をだしているキーエンスのやらないことは、
- 粗利率80%以上にならない事業はやらない
- 収益性基準を満たさなければ事業撤退
- 製品の特注、改造には一切対応しない
この明確なルールを貫き通し続けてきたから、高い利益率を維持しキーエンスといブランド価値を生んでいる。
やらないことを貫くことは凄く難しい。なぜなら、やったほうが楽だから。
製品の特注、改造をした方が簡単に売上は作れるけどキーエンスはしなかった。特注、改造を求められるならそれ以上の価値のある製品を用意するというのがキーエンスの考え方。
何事にも言えることだけど、楽な選択肢の先は苦悩。
何処かで苦悩が来るのであれば早い段階で苦悩を味わったほうがいいってこと。
ブランド作りの本質は、やらないことを貫き、機能以外で高く売る方法を考えることこそ、これからの時代に求められる必須能力。
自問自答と同時に覚悟を決めることが価値あるブランドの源泉になると思う。
やらないことを決めて貫く。
上手くいっている時はいいけど、上手くいっていない時は楽な選択をしてしまうのが人の本能。
この本能と向き合い続けれる企業や個人がブランドとなる気がする。
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