スターバックスのブランド戦略パート②
今後持続可能な経済を作るにはブランド戦略が大切になってくる。
ブランドとなるために、何をするか?何をしてはいけないか?ということ。
スターバックスを分析すると、成長出来ている理由がわかる。
その理由を少しでも自分に置き換えて転用させることで、今ダメな理由を明確にし、何をしなければいけないか?というヒントになればと思う。

今回はスターバックスとドトールの違いを具体的な数字と比較することで、何が悪くて、何が良いのか?仮説検証。

スターバックスの強さの源についてはパート①で見てくださいね。
目次
■スターバックスとドトールの違い

結論から言うと両社の違いは何を売っているか?
スターバックスは価値を売っているに対してドトールは商品を売っている。
違いをはっきりさせる為にあえて分けると
スターバックスはブランドを売るCAFE
→スタリッシュさ、体験と価値を売る
ドトールはコーヒーを売る喫茶店
→庶民的さ、時間と場所を売る
この違いを様々な視点で解説。
⚫︎SNS投稿でブランド価値検証
スターバックスはブランド価値を売っている。
「コーヒーを買う」という体験を大切にした店舗空間、コーヒー焙煎の匂い、インテリア。
ワンランク上の小さなご褒美感を演出。
お客さん1人1人とのコミュニケーションを大切にすることで優れた顧客体験を売っている。
その明確な結果がSNSでの情報拡散。

数年前のSNS写真投稿数比較。
圧倒的にスターバックスの投稿数が多い。
この結果はコーヒーを飲んでいるだけではなく、体験を楽しんでいる証拠。

自分がSNS投稿する場合、スターバックスとドトールだったらどっちを投稿するか?これが両社のブランド価値の違い。
■ファン作りの違い
ブランド価値と直結するが、両社の顧客に対しての考え方は大きく異なる。
スターバックスは共感、愛着、信頼を求めるファンを作ることを徹底しているのに対し、ドトールはコーヒーを楽しむ顧客を作る。
⚫︎スターバックスのファン作り手法
①パートナーと顧客とのコミュニケーション
顔馴染みの顧客なら、手書きのサンキューカードや、カップに絵を描いてもらえることは多い。

この、少しの気遣いが気分を良くしてくれる!
夫婦でよく行くスターバックス店舗がある。休日のんびりしたい、勉強したい、何か考え事したい時に利用するから完璧な常連。
定期的なサンキューカードもだけど、似顔絵はよく描いてもらう(笑)


こんな遊び心のあるサービスがあるから、居心地もよく近くに別のスターバックス店舗があってもお気に入りのお店に行ってしまう。まさに、お店のファン。
②ファンを飽きさせないイベント施策
ファンを飽きさせない施策は大きく3つ
季節限定商品の展開季節限定のドリンク、フードを定期的に展開することで特に若年層の心を鷲掴みにしている。
イチゴ系のフラペチーノが出たら、多くの人がこぞって注文する光景は何度も見る。

オリジナルプリペードカードスタバカードは店舗、地域によって頻繁に新しいデザインを展開する。
それによってスタバカードコレクターなどのマニアが全国各地で増えている。

自分だけのオリジナルカスタムドリンク
スターバックスでは細かく自分の好みに合わせたオリジナルカスタム対応が出来る。スタバマニアの人は自分だけのオリジナルドリンクの開発を楽しむ。

スタバマニアという人が全国でいるというのがスターバックスの強み!
ドトールはファン作りではなく、コミュニケーションの場所の提供。
好立地な場所で小休憩する時に使う場所。
席を詰めてお客さん同士の会話を楽しむ場所の提供。
その為、ドトールマニアと検索しても思い浮かぶことがない。それが熱狂的なファン作りというより、小休憩の場所の提供。
■業績比較
⚫︎店舗数比較
店舗数だけ見ると2012年時点では業界TOPの店舗数誇ったドトール。
2012年 → 2019年
ドトール 1,115店舗→1,100店舗
スターバックス 966店舗→1,497店舗

⚫︎売上比較
約10年前までは両社に大きな差はなかった。

スターバックスは2009年に売上、利益共に大きく落とし苦境をむかえた。

【直近の売上】
2017年 2018年 2019年
ドトール 726億 725億 739億
スタバ 1,710億 1,827億 2,011億
ドトールは店舗数、売上共に停滞。
一方スターバックスは近年成長を続けている。
約10年前は同じ規模だった両社は現在大きな差となりスターバックス1強時代となっている。
スターバックスは売上が頭打ちになった2008年から改革を繰り返し成長した。
■コーヒーチェーンポジショニング
ポジショニングMAPで見ると、スターバックスはスタイリッシュさを売りに若年層中心の顧客層。
ドリンク売上構成は70〜80%。
ドトールは庶民感を売りに中高年層を中心に顧客層を持つ。
ドリンク売上構成は40〜50%
この売上構成こそがドトールが伸び悩む原因。
ドトールはフードメニューを充実させている為、店内滞在時間が長くなる喫茶店。
一方スターバックスは、店内座席がなくてもテイクアウトも多く販売客数が圧倒的に多い。

中高年層をターゲットに展開するのは間違った戦略ではないが、そこに割って入ってきたのがコメダ。
⚫︎コメダの差別化戦略

コメダが狙ったのはドトールの客層。
喫茶店感覚で食事や友人との会話をする場所として利用する客層。
逆にスターバックスがやらない戦略を徹底した。
コメダ戦略はFC中心の運営形態フードを充実全世代の客層を狙う生活密着型の喫茶店モデル。
自分は岐阜出身だから、モーニングサービスは当たり前だったけど全国的には珍しいサービス。
岐阜では喫茶店は朝ごはんを食べる場所という生活の一部だった。
コメダ戦略はドトールでは出来ない、フルサービス、長時間滞在可能、モーニングサービスという生活密着型モデルを売りにシェアを広げ、明確な差別化がないドトールは苦戦し売上を伸ばせないでいる。
スターバックスは若年層を中心としたブランド価値を売りにしたビジネスモデル。
コーヒーチェーン激戦区であっても、スターバックスの一人勝ち時代はまだまだ続く。
一方、明確な差別化戦略が打ち出せないドトールの苦境は続くと思う。
■最後に
スターバックス、ドトールを分析すると、たった10年で結果が大きく変わったことがわかる。たった10年、されど10年。
苦境にさらされた時、既存の常識を疑い変化できたところが成長している。
未来の状況が全く読めないVUCA時代。
過去の成功例だったマーケティング理論が通用しなくなってきている中で、間違いないことはファンビジネスは強いということ。
どんな小さなことでも、まず1人1人ファンを獲得し広げることが変化の波を乗り切れる唯一の手段ではないか?と最近凄く感じる。
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